狩る者と狩られる者
[越権行為](1/4)




雨が降り始めた。



雫はどんどん大きくなり、あっという間に本降りになる。




「いやー…。あれは流石に厳しいでしょー…。」




試験管片手に、呟く。



視線の先には、化物としか形容できない有様のチスイ。



向こうからは見えないように、木々の隙間から覗き見ている。




「せめてシェミちゃんがいればなあ…」




グラームの秘書、兼副長。



化学者でもある。




「あの人は何分、いや何秒保ったっけ…?」




確か、一分にも満たなかった。



せいぜい30秒。




「…まさかこんな風に使う時が来るとはねえ…」




予備で二本ある。



いい加減腹を括ろう。









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