雨が降り始めた。
雫はどんどん大きくなり、あっという間に本降りになる。
「いやー…。あれは流石に厳しいでしょー…。」
試験管片手に、呟く。
視線の先には、化物としか形容できない有様のチスイ。
向こうからは見えないように、木々の隙間から覗き見ている。
「せめてシェミちゃんがいればなあ…」
グラームの秘書、兼副長。
化学者でもある。
「あの人は何分、いや何秒保ったっけ…?」
確か、一分にも満たなかった。
せいぜい30秒。
「…まさかこんな風に使う時が来るとはねえ…」
予備で二本ある。
いい加減腹を括ろう。