狩る者と狩られる者
[仮面の完成度](1/4)




グラームは、無言で木の幹によりかかっていた。




「何であんたがここにいるんですか?」




チャエは尋ねながら、近づいた。



二人の距離は、約3メートル。



チャエの本能が、それ以上の接近を拒んだ。




「貴方が直々に、被害者を医者の元へ連れてくること。それも獣人の手を借りること。2つの理由をお聞かせ願いたいのですが、よろしいでしょうか。」




皮肉げに笑いながら、チャエは言った。



チャエはもう、ベットに横になっていた女が、狩猟機関のトラブルの被害者であることはわかっていた。



自分の血液が採血されたことから、女が獣人で、獣が自分と同じ猫であること。



女とはいえ獣人なのに死にかけていることから、狩猟機関で暴れているハンターはもしかしたら獣人なのかもしれないということ。



獣人でなくとも獣人を殺すことが出来る実力、または相応の武器を所持していること。



それらを察した。




「わかった、話す。だが、敬語はやめてくれ。どうせ敬うつもりなどないだろう?」




「あ、ばれました?けど、俺には俺の型がありますから。中途半端な敬語ですけど、そこは気にしないでください。」




どうぞ?



瞳で促すチャエ。



これがチャエの完全防備状態。







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