夜。
視界を遮られている今、代わりに聴覚が鋭敏になる。
バケツをひっくり返したような、なんてよく聞くけれど、他にどう表現したらいいのかわからない。
皮膚に振動が伝わってくるほどの、大雨。
とにかく雨がすごく降っていた。
残念ながら、指一本も動かせない。
絶好のチャンス。
動かす気力もなかった。
これを逃すなんてありえない。