グラームはコーヒーを飲みながら、ある一点を凝視していた。
照明の紐の先を見つめながら、考えるのはチスイとシェミのこと。
照明の羽が天井で静かに回転している。
すっかり冷めてしまったコーヒーを、思い出したかのように時々口に運ぶ。
「ユウリ」
グラームは言った。
「あれ、気づかれました?」
部屋の扉を後ろ手で閉めている途中の格好をした女性。
ユウリと呼ばれたその女性は、扉を閉めるとグラームの机の前まで歩いた。
「いやー、ノックしても無反応なんで、もしやこれはまた何か考え事でもしているのかな、と思いまして。」
言いながら、ボリュームのある茶髪をポニーテールにしている。
紐を口で咥えながら話すので、変にくぐもった声だ。
半笑いの空気のユウリは、満面の笑みでこう言った。
「それで、今度はどんな謀ですか?」