砂糖菓子が溶ける時。
[海と波乱の夏合宿](1/36)
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それからしばらくして夏合宿の時期になった。
風上先輩の怪我も完治して、練習に参加できるようになっていた。
「秀、早く起きないと遅れるよ。」
「……んー…うん、いや…俺はカレー…派…」
「何言ってるの、起きて。」
寝ぼけている秀の腕を引っ張って無理やり起こす。
「次呼びに来た時に起きてなかったら本当に置いていくから。」
そう言ったらやっと起きてきたけれど、
秀は寝起きが悪いから合宿が心配だ。
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「合宿所、海の近くでしょ?良いわねー。」
母親の言うとおり確かに海の近くではあるが、海で遊べるわけじゃないし言うほど良い物件でもない。
まぁ、綺麗な海は見るだけでテンションはあがるけども。
「海だったら砂浜ダッシュで、山だったら坂道ダッシュだろ。どっちにしろ辛いし、どっちもどっちだな。」
「んー、でも山の方がまだ涼しそう。」
「それな。マネなんだし莉乃も走ったら?」
「ん?ちょっと意味がわかりません。」
今時、実際にする人がいるかは知らないけれど好きな人と砂浜で追いかけっこしている絵面はすぐに思い浮かぶ。
でも全力疾走する部員の中に混ざるとか考えられないでしょ。
好きな人は確かにいるけれど、
ムードも何もあったもんじゃない。
…って、私は何を考えているんだろう。
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