クリスマスなう(27/27)
「強引と言っちゃ強引ですが、恋愛に奥手で臆病なミヤビにはあれぐらいが丁度いいでしょう。」
「・・・・・・いいのか?・・・あれが?」
「本気で嫌なら受け入れませんよ。・・・それにあの子も、お義兄さんの好意が満更でもないんじゃないですかね。惹かれていたのはミヤビも同じだったのかも。」
「・・・そんな詳しい解説いらない。聞きたくない。」
自分の兄と嫁の幼馴染みがくっ付くなんて、
誰が予想しますか。
ババアの思惑通りに進んでる気がする。
またゼ〇シィ買って兄貴のとこ押し掛けていきそう。
想像しただけでガタブルもんだ。
・・・俺達の苦悩も知らず、
兄貴は調子に乗って、真っ赤に染まるミヤビちゃんの頬にチュッチュと口付けをしまくりだした。
彼女が既に目をギュッと瞑っていっぱいいっぱいの顔をしている。
おい、どさぐさに紛れて何やってんだお前。
・・・・・・段階踏んでやれよ!恋愛初心者だぞ!
頬っぺでもいきなりキスすんな!
「いやぁついつい。」
「・・・もう帰れよ。満足だろ。」
「そうだな!ミヤビちゃん、送っていってあげるね。」
「え゛、い、いいい、いや、ワタシ、1人でかえれっ「はーい行こう!」
ひぃっ、きさぁ!きさぁぁ!!
兄貴に引きずられていくミヤビちゃんは、杞紗に伸ばす手も虚しく
ガチャンッと扉の音を立て、去っていった。
・・・きっと車の中で散々口説かれるんだろう。
それが分かってるからミヤビちゃんは二人で帰りたくなかったのだ。
俺はもう一度、心の中で合掌した。
ドンマイ、頑張れミヤビちゃん。
「・・・さて、残る問題は、横井さんですね。可哀想にも程があります。」
「!! ハッ、そうだった!あいつ・・・あ、あいつ・・・!うああ、俺は涙で前が見えん!」
「・・・・・・そうですね。今回ばかりは良心がズタボロになりそうなぐらい痛みまくってます。」
俺もだよ杞紗ちゃん。
幾ら何でもあんまりだ。
出会いは横井との方が古いっていうのに・・・ポット出で同じチャラ男という肩書きの兄貴に負けるとは!
どんな顔してあいつに会えばいいんだよ。
「・・・・・・合コンでも開いてあげましょうか。」
「・・・・・・呼べる女いんの?」
「麻実ちゃん」
「・・・やめろ鬼女!!それだけはやめろ!!」
「冗談です」
杞紗の笑えない冗談に全力でタチが悪いと抗議する。
傷口に塩塗るだけだから!!これ以上酷いことはやめてあげて!!
「じゃあ他に誰がいるんですか。こうきさんの知り合いは?」
「俺は女友達いない。あえて言うなら村井と鈴木さん。」
「・・・ですよね。・・・・・・いや待てよ。こうきさんの知り合いで女性・・・ハッ!由依子さん!!由依子さんがいます!!彼女は確か彼氏いなかったはず!」
「・・・・・・誰だっけ。」
「あなたの元カノでしょう。」
「・・・・・・」
「・・・そうですね。元カノ紹介するのもえげつないですね。辞めときます。」
そうしてもらえると助かります。
結局打開策は「後日村井に相談する。」という方向で終わった。
正確に言えば、考えることを放棄した。
・・・何故なら俺達はもう疲れきっていたからだ。
「お風呂入って寝ましょう。今日は色々ありすぎました。」
「・・・・・・うん。一緒に入ってもいい?」
「ふふっ、いいですよ。」
お許しが出たので早速杞紗を抱き上げて風呂場へ向かう。
その間に、
「やっと二人っきりでイチャイチャできますね。」
・・・なーんて、超絶可愛い殺し文句を言ってくるもんだから、
俺は堪えきれずに杞紗の唇を奪った。
p.278
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