クリスマスなう(2/27)
問題のクリスマスまでに、何かを解決できたかと言うと、
答えは否である。
ミヤビちゃんは思いのほかイルミネーションを楽しみにしてた。
朝からテンション高めに『お昼からそっち行っていい!?』とラインがきたのだとか。
横井の言っていた通り、やはり女の子なんだなぁと思いながら
杞紗にも「イルミネーション楽しみ?」と聞いてみる。
すると、「今日の晩御飯の方が楽しみ。」と普通に返答された。
・・・・・・うん、何となくわかってた。
「悪いな、日曜なのに朝から仕事で・・・」
「いえ、仕方ないです。夜一緒に過ごせるだけでも私は満足なので、気にしないでください。」
「・・・・・・俺も横井も、17時には絶対帰るから。また連絡する。」
「わかりました。お仕事頑張ってくださいね。行ってらっしゃい。」
「ん。行ってきます。」
杞紗からお弁当を受け取って、可愛らしい唇に触れるだけのキスを落とす。
クリスマスに休日出勤って、鬼畜だ。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「・・・ふぅ、何とか終わったー。」
「お疲れ牧田。俺も終わったー。」
「うし、とっとと帰ろうぜ。」
帰り支度をバタバタと進め、缶コーヒーをぐいっと飲み干した。
イルミネーションには一緒に行くことになったけど、
俺達は目的地に着く前にバックれると横井に伝えたら、凄まじく喜んでいた。
・・・ただその後がどうなるかは俺は知らないぞ。
引き止められるかはお前が頑張れよ。
横井と二人で会社を出る。
今日は車より電車の方がいいだろうということで、お互い会社の最寄り駅へ向かう。
その間に杞紗に連絡しようと、スマホを取り出した時だった。
ブーブーブー
タイミングよくバイブが響いた。
杞紗からだなと思いラインを開くと
そこに書かれていた内容は、
『ヘルプ』
・・・・・・・・・え?
ヘ、ヘルプ?
なんだ一体どういうことだ。
不良にでも絡まれてんのか!?
もしくは誰かに拉致られたとか!?
俺は慌てて杞紗に電話を掛けた。
そんな様子に隣の横井が「どうしたの?」と声を掛けてくる。
まて、説明は後でするからとりあえず待て。
コール音が鳴り響き、
しばらく呼び出したあとで、『・・・はい。』とコソコソ小さな声で喋る杞紗が電話に出た。
心做しか元気がない。
「あのラインなに?どうした!?誰かに絡まれてんのか!?」
『・・・絡まれているかと聞かれたらそうですね。』
「すぐ行く。今どこにいる?」
『・・・・・・〇〇駅の居酒屋です。』
「!! おま、もしやナンパで無理やり連れていかれた!?」
『いや、ナンパではないのですが・・・『杞紗さん!誰と話してるんですかぁー?』
会話の途中で、甲高い間延びした口調の女が杞紗の声を遮った。
・・・・・・女?しかも“杞紗さん”と呼んでいるってことは、前からの知り合いか?
ますます謎が深まる。
頭が混乱状態の俺に杞紗は『ちょっと電話は無理っぽいので、ラインで説明します。』と言って慌てて電話を切った。
・・・・・・な、何なんだ。
p.253
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