イザコザなう(24/24)
「おっはよー!」
上機嫌で挨拶をしてくる横井が、今出社した。
昨日同様鼻歌をフンフン奏でながら席につく。
・・・・・・来たか。・・・来てしまったか。
「あれ?牧田今日はいつにもましてテンション低いね。」
「・・・・・・」
・・・そりゃそうだぜ・・・。
俺はこれからお前の上機嫌をぶっ壊す発言をせねばならないのだ。
流石に落ち込むよ。
そしてやっぱりお前の考えは甘かった。
「・・・横井健(たける)くん、君に残念なお知らせがあります。」
「・・・え」
「心して聞きなさい。覚悟はいいか。」
「え、え、何かとてつもなく嫌な予感。いや話さなくていいよ牧田。別に聞きたくな−−−ぶふっ!」
「実はなお前が楽しみにしてた・・・」
聞きたくないという横井の顔に、束になった今日の調査資料を投げつけて遮った。
そして俺は
こいつの今最も望んでない言葉を告げるのだ。
「ミヤビちゃんとのクリスマス、俺と杞紗も同伴になった。」
横井の顔が絶望に染まった瞬間だった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
昨日杞紗が話したがってのはこの件だった。
『ミヤビが「クリスマスにイルミネーション見に行くよ!空けといてね!マキさんもしゃーなしいいよ!」と何故か決定事項の様にラインをしてきたんです。』
『・・・え?』
『何やら横井さんと企てたみたいですが、何か聞いてません?』
『・・・・・・聞いてますけど俺の知ってるものと確実に違うところがあります。』
『・・・・・・』
俺のこの言葉で瞬時に何かを察したらしい杞紗は、眉間にシワを寄せて
『まさか・・・』と呟いた。
答えに辿り着くの早いね。
『一応聞きましょう。違うところってどこですか。』
『横井はミヤビちゃんと二人っきりで過ごす気でいる。』
『・・・やっぱりぃ』
泣きそうな表情で『哀れすぎる横井さん・・・』とつぶやく杞紗。
俺もその意見には同感だ。
でもおかしいと思ったんだよね。
あのミヤビちゃんがすんなり一対一のデートまがいを了承するはずないじゃん。
兄貴の時はあれだ、もうとてつもなく遊園地に行きたかったんだろう。
帰り際に相手は別に誰でも良かった的な発言してたから。
兄貴の前で堂々と。
『・・・どうする?横井めちゃくちゃ楽しみにしてたぞ。』
『・・・・・・ここで私達が行かないってなると、ミヤビも多分行きません。それはあまりにも、・・・うぅっ』
『泣いてやるな。あいつが凄く惨めに見える。』
『・・・とりあえず一緒に行くだけ行って、途中ではぐれましょう。その後引き止められるかどうかは横井さん次第です。』
『そうだな・・・。」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
と、いう経緯を全て話した訳ですが、
放心状態の横井は調査から帰ってきてもそのままだった。
お前ちゃんと仕事できたのか?やり直しは嫌だぞ。
怖々調査結果を見てみると、そこはちゃんとしてた。
おぉ、なかなかやるな。
p.251
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