実家なう(2/25)
ガバッッ
「ふぐっ!!」
ガラガラガラと玄関の引き戸を開けた瞬間、
杞紗の姿が消えた。
言わずもがな飛び出してきたのは、
「きーーさーーちゃぁぁぁん!!きゃああ!!久しぶりね可愛いわね相変わらずちっちゃい!柔らかい気持ちいい!あぁもう押し潰したい!!」
超絶ハイテンションなお袋である。
・・・玄関でスタンバってたのか、むしろ引き戸開けたのお袋じゃね?ってぐらい早かった。
ぎゅうぎゅうに抱きしめられながら、
苦しそうな声で「お、お久しぶり、で、すぅ」と杞紗が挨拶をしている。
僅かな隙間から手を伸ばして俺の服を力いっぱいグイグイ。
なるほど助けての合図だな。
うん、待ってろ、今なんとかしてやる。
「いきなりヤバイ発言してんなよ。苦しそうだから離してやって。」
「なに?もう自分の物になったから触るのも許さないって?は?」
「一言も言ってねぇだろーが!息子に喧嘩売んな!」
別に売ったつもりないですけどー?とふくれっ面で
むにむに杞紗の頬っぺを揉みながら頭に頬擦りしまくるババア。
可愛がり方が異常なんだよ。
このままでは一向に中に入れない。
しょうがない、オヤジを呼ぼう。
「オヤジィィィ、ヘルプ!!!」
「え、そんな原始的な呼び方するんですかこうきさん」
「うん。だいたいこれでお袋が原因だって分かってくれる。」
「余計なこと吹き込むな愚息が」
愚息より問題児なのはそっちだろう。
これが嫌なら大人しく家に入らせてくれ。
ヘルプを掛けてすぐに
トットットットッ
オヤジの軽やかな足音が近づいてきた。
その音に反応して杞紗がお袋の腕の中でモゾモゾと動く。
髪を手櫛でとき、服のシワを伸ばして、俺に変なところは無いかと尋ねてくる。
うん、無い無い。可愛い。
「はーい、ヘルプオヤジでーす。よう昂樹、おかえり。」
「ただいま。早速だけどお袋何とかして。」
「・・・・・・ん?んん!?はっ!まさかその子は・・・!こ、昂樹のお嫁さんか!?」
目をキラキラさせてお袋にまたもや頬擦りされている杞紗を見るオヤジ。
どうやら話はちゃんと通っているようだ。
「はっ!初めまして!杞紗と、ぅにゅ、いいまふっ、ご、ごあいしゃちゅが、おきゅれてしゅみま、てんっ」
「・・・母さん、少し離してあげなさい。」
頬を揉まれながらよく頑張って言えたな杞紗。
途中でやめずに言い切ったお前はすごいよ。
オヤジのマジでお袋を止める姿を見たのは久々かもしれない。
※ ※ ※ ※ ※ ※
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私事ですみません。
本当にたくさんの方々に閲覧して頂いて、毎日嬉しく思っております。
栞もいつの間にかこんなに増えて・・・レビューを頂ける度に飛び上がっております。
この機会に言わせて下さい。
本当に、いつもありがとうございます。(土下座)
p.168
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