交際0日婚ですが何か?

両想い?なう(2/17)










新婚生活も1ヶ月を過ぎた頃、




「こうきさん、今度は私の方で緊急事態発生です。」



杞紗が険しい顔つきでそう言った。

花金の夜、真っ直ぐ家に帰った俺が
ソファーでホルスタイン杞紗をまたもや向かい合わせに膝にのせて
胸部分に顔を埋めていた時だった。
最近はこうして触れることにも慣れてきたのか、
これぐらいなら嫌がらないようになった。
手で胸揉んだら怒るけど、顔はいいのね。


「なんだ、ついに実母から連絡でもきたか」


埋めていた顔をあげて聞いてみると、
杞紗は違います。と首をふる。

結婚したことを杞紗の祖母には伝えているので
情報は母と兄にも伝わってるはずなのだが、
未だに連絡がないのか。薄情すぎるだろ。



「村井さんにこうきさんとの事がバレました。こうきさんに会わせろと連絡が絶えません。」

「・・・・・・村井さんか」



あんまりあの子得意じゃないんだよな・・・。
ていうか絶対俺嫌われてたし。
私に近寄んなオーラ出されてたからね。
俺も自分を嫌いな人に過度な接触はしなかったから
結構一線をひいているっていうか・・・、
でも2人と共通して仲がいい杞紗は板挟み状態でしんどいだろうな。
こいつは村井さんの事を本当の姉の様に接して懐いてるし、
俺のせいで関係がこじれるのも可哀想だ。

うん、よし、俺の方が歳上だし?
今回はこっちから歩み寄ってやんよ。



「いいぜ。村井さんにどこで会うか、日にちと場所は杞紗が決めといて。」

「! ほんとにいいんですか!?あの、正直村井さんの事苦手でしょう?無理しなくてもいいんですよ?」

「俺がっていうより、村井さんが俺を嫌ってるよね。」

「・・・あぁ、まぁそれはそうですね。」

「杞紗は理由を知ってんの?」



眉間にシワを寄せながら話していいものか悩んでいる。
腕を組んでうーうー唸っている。

やめてそれ、胸に顔埋められない。


無理やり組んでる腕をといて
ぼふっとまた顔を押し付ける。


ぐりぐりぐり



「・・・こうきさん、だいぶ甘えたになってきましたね。」

「揉むぞ」

「可愛くていいと思います!わぁきさうれしい!」



棒読みで喜びを露わにする。
顔がめっちゃ引きつってるぞ。
せめて上手に笑えよ。









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