両想い？なう(17/17)
もぐもぐもぐ
幸せそうにオムライスを頬張る杞紗
足腰が立たなくなったあと
「今日の晩御飯はオムライスがいいです。」
とむくれた顔で言うので、頑張った御褒美に作ってやった。
「んー！！美味しいです！天才です！」
「機嫌直った？」
「直りました。･･･でも、次からはもうちょっと手加減してくださいね。」
笑いながら当たり前のように
次があることを語るので、また胸きゅんした。
おっさんキラー恐るべし･･･。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「紅茶でも飲みます？」
「おう。」
一緒に住み始めてから、食後に飲み物片手に色々話すのが定番になった。
一人暮らしの時はコーヒーしかなかったのに
今ではココアや紅茶、ハーブティーなんかも置いてある。
ココアはほぼ杞紗専用だけど。
「ストレートでいいですよね？」
「あぁ。さんきゅ。」
隣り合わせにソファにすわり、
ふてぶてしいシロクマで紅茶を飲む。
甘さ控えめで俺好みの味だ。うまい。
「今日はありがとうございました。りほさんも何とか認めてくれましたし、一安心です。」
「俺は別に何もしてないけどな。ほとんど杞紗が説得したようなもんだし」
「･･･足は大丈夫ですか？」
「確実に青あざだろうな」
怖くてまだ見てない。
風呂で嫌でも目に入るだろうし、もういいわ。
それより聞きたい事があるんですけど、
「･･･河上くんって村井から紹介されたんだって？」
「何故それを」
「村井が言ってた。俺から杞紗を引きはがす為だって。」
「あぁ、やっぱりそういう裏があったんですね。なんとなく分かってましたけど。」
杞紗は猫舌なのでフーフー冷ましながら飲んでいる。
裏がわかってた、その言葉に複雑になる。
つまり、全部わかってて誘いに乗ったってことは
一度は俺から離れようとした、そういう事だよな？
「･･････」
「･･･こうきさん？」
「･･･杞紗が河上くんと付き合ってる時、正直俺は寂しかった。」
「･･･付き合ってると言っていいんでしょうかあれは」
「俺の中では付き合ってると思ってたんだよ。だって杞紗は好きって河上くんに言ったんだろ？」
俺は“たぶん” なのに、2年で関係が切れた河上くんにはちゃんと“好き”って言ったなんて
なんかムカつく。
「･･････確かに言いました。でも、 こうきさん」
「なんだよ」
「恋人を先に作ったのは、こうきさんですよ？」
「･･････え？」
「流石に彼女がいて、2人でご飯は気が引けますし･･･だから私も、他に目を向けてみようかと･･･」
･･････はっ！
そういえば、いたわ。
あまりにも記憶から消去され過ぎてて忘れてたけど
なんか横井が開いた合コンに参加させられて
そこで知り合った女と、そうなったんだ。
杞紗に言ってたのか･･･過去の俺をボコボコにしてやりたい。
p.72
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