交際0日婚ですが何か?
報告なう(2/13)
「おはようございます。」
制服に着替えて自分のデスクに移動する。
俺より先に出勤していた隣のデスクの横井が
「はよー」と軽く挨拶を返してくれる。
「憂鬱な月曜だぜ嫌だよなぁー」
「お前は内勤だろ。まだいいじゃん」
「いやいやぁ俺は外に行きたい。原課長から逃れたい」
あぁそれは確かにいやだ。
原課長とは、名ばかりの役職がついた
仕事おしつけ人間である。
あれやってーこれやってーと一丁前に指示するくせに、自分は全く仕事をしないのだ。
何してるかって?パソコンで車とか旅行サイト見てる。
ただ人員不足だったこの会社で
年功序列に従い成り上がっただけの、出来ない上司だ。
「あー課長降格しないかな・・・」
「代わりにお前が課長になるのか?」
「まっさかぁ、営業部の竹内課長こっち来てくれないかな・・・」
「お前竹内さんを過労死させる気か。」
今は社長が代わったことにより、充分な人材が確保されている。
その中で兼任させるって仕事量が1人だけエグいだろうよ。
ちなみに杞紗が居たのはブラックな時代で、社員よりアルバイトを雇って安上がりにしようとしていた時である。
思いのほか杞紗達が優秀だったので、あの子達がみんな辞めてしまう迄はアルバイトを雇っていたのだが、
・・・・・・杞紗がやめてから皆一斉に去っていった。
何だかんだで、杞紗は男女問わずアルバイトの子達からの人望が厚かった。
年下の子達が遅くまで残っていると、必ずと言っていいほど終わるまで手伝って、
明らかに残業をしている昼の部のアルバイトには、
仕事を引き継ぐのでもう帰っていいよと声をかけていた。
そんな杞紗が辞めた途端、じゃあ私もとあっさり皆いなくなった。
何人か新しいアルバイトもとったのだが、どれも杞紗達より遥かに劣るため、
現在は派遣社員を雇っている。
でも正直仕事はあの子達の方が優秀だった。
「あ、愛美ちゃん」
「ん?」
「おはようございますぅ」
噂をすれば、出来ない派遣社員登場だ。
この子は完全に男を物色して捕まえるためだけに仕事に来ている。
今のターゲットはまさに俺。
「朝早くからご苦労さまです。コーヒーでも入れましょうか?」
「いや、朝礼始まるしいいわ。俺外だから」
「そうですか・・・。はやく帰って来てくださいね!私美味しいコーヒー入れますから!」
きゃぴきゃぴ
なんか体の節々から音が出そうだな。
これが杞紗なら・・・・・・
『昼1で帰ってきてください!絶対に!なんでって?当たり前でしょう!仕事が早く終われば、私も早く帰れるからですよ!!!』
と、まぁ必死な顔で自分が早く帰りたいと熱弁するだろうな。
想像するだけで笑える。
「・・・・・・ん?おい牧田、お、お前それ、ゆ、ゆびわ・・・」
「あ?」
「も、ももももしかして!」
彼女出来たのか!!!!
横井の叫びが事務所内に響いた。
おいやめろ目立つ。
一斉にこちらを見る社員達。
なぜだ、彼女ぐらいでここまで注目されるのか。
数年いなかったから?そゆこと?
っていうか彼女じゃない。
「嫁だよ嫁」
「は?」
「俺結婚した。」
ポカンッ
皆が唖然としたあと、
しばらくして
「ええええええええ!?」と絶叫した。
驚かせてすまん、テヘペロ。
p.44
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