あの日の僕にさよならを…
§[その少年、驚愕](1/10)
素直になれない君の為に…
夜の巡察に向かおうとする処を呼び止め、当面は涼の世話をおまえに任せたい、と切り出すと、原田は色っぽく目尻を下げ、「俺は構わねぇけどな。あいつ、可愛いし(笑)」

…可愛いは余計だろうが。…やっぱ危ねぇかな、こいつじゃ。

「無理を言って悪ぃが…なるべく傍にいてやってくんねぇか…」

ホントは自分がついててやりてぇんだろ?と悪戯っぽく笑いやがる…

「ちゃんと守っといてやるよ。とりあえず総司に近づけなきゃいいんだろ…斎藤、どうすんだ?」

どうするって…
どうもしねぇよ…

あのさぁ、土方さん…と原田が口ごもる。
「黙って放っとくかとも思ったんだけどよ…最近の総司、おかしいぜ?…まぁ、涼が来てからってのもあるんだろうけど、斎藤を片時も離したがらねぇんだ。斎藤も鬱陶しそうにはするんだが、結局は総司の好きにさせてるし…」

今朝だって見ただろ?と原田が呆れたように言う。

平助から、斎藤は総司には甘過ぎる、とは聞かされていたが。。

涼にも言われたな…。
あの二人は離しちゃ駄目なんだよ、と。

「…元々、仲はイイだろうよ。なんでそんなに気になるんだ。」

原田は困惑した表情で、「…総司、どっか体が悪ぃんじゃねぇか?」

…なんだって?

俺の眉間が厳しくなってくのを見て、いや、何でもねぇよ、とにかく涼の事は任せてくれ、と原田は出掛けて行った。

総司…
何があった?…

原田を見送ったまま廊下に立ち尽くしていると、遠慮がちに俺を呼ぶ声がした。

「副長…宜しいですか」

…あんまり宜しくないんだが…

今はこいつと面と向かって話す気がしないのは、俺の勝手だよな…

「…どうした?ああ、涼に渡しといたぞ。あいつ、一気に食っちまいやがった。」
斎藤は、フッと片方だけ口角を上げた。

…あ、笑ったのかよ、今。…わかりづれぇ。

「…有り難う御座います。涼がなかなか姿を見せなかった故、平助に頼んだのですが…」

…おまえから逃げてたんだよ…いや、言えねぇけど…
「美味そうに食ってたぞ。おまえに礼を言っとくようにしたんだがな…」

構いません、充分です、と斎藤は呟き、邪魔をしました、と部屋に行こうとするんだが…

「えっ!?ちょっおいっ!!用事があんじゃねぇのか!?」

「…は?もう済みましたが?」

…金平糖の確認に来ただけなのかい…

「副長?どうなさいました?」

…なんだか泣けてくる夜だなぁ、おい。

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