あの日の僕にさよならを…
§[その少年、爽快](1/10)
遠慮なんかしないからな…
…平成から飛ばされて3日目の朝。
学校や家の事…これからの事…考えなきゃならないのはわかってるのに、要らんコトまで増えちゃって、うんざりだ。。

今朝の広間での一件で、僕はキレると沖田さん以上に危ない存在だと思われてしまったようで…永倉さんや藤堂さんなんか、ちょっとビクビクしながら接してくるようになってしまった…
…僕はあんまり怒ったりはしないタイプなんだけど、沖田さんにだけはダメみたいだねもう…

高校に入学したての頃、一度だけ上級生に呼び出しを受けた事があった。
僕は生まれつき髪が茶色くて、瞳の色も少し薄い。それをからかったり苛めたりするような奴らはいなかったけど、違う意味で興味を持ってまとわりついてくる奴らはいた。。

その上級生もそんな奴らの1人で、僕に…つまり関係を迫ってきたんだ。
言っとくけど、そいつ、男だから。
そして僕は男に対して、そういう感情を抱く種の人間ではなかった。

その上級生は確かにカッコいい人で、女子からの人気も高いのは知っていた。
今思えば、どことなく沖田さんに似た面差しのイケメンだったんだ…
そして僕が断ると、その上級生は事あるごとに嫌がらせをしてくるようになった。。
…そんな経験があるから、余計に沖田さんに対して警戒をしてしまうんだろうか…

沖田さんが斎藤さんを離したくない気持ちは、僕にも痛いくらいわかった。

同時に斎藤さんが沖田さんをどれだけ大切にしているのかも。。

斎藤さんが優しくしてくれるのは、本当は沖田さんにしてあげたくても出来ない事を、僕に沖田さんを重ねて見て、代わりにしているんだろう。

僕が沖田さんに似ているから。

土方さんは二人が妙な関係なんじゃないかと心配したみたいだけど、それならそれでいいじゃないか…

僕に絡んでくる度に、沖田さんの心が悲鳴を上げてる気がして、切なくなるんだよ。。

一君を取らないで…。
一君だけが僕をわかってるのに…。

土方さんにお願いはしてみたけど、やっぱり僕の口から斎藤さんに言おう。

沖田さんの傍にいてあげてって…。

吹き抜けた風に、制服のブレザーが翻った。。


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