初恋、発恋中
○もやもや(1/5)
前を歩いていた高谷が立ち止まる。
視線が交わった瞬間、胸の高鳴りが強まった。って、俺は乙女か!気持ち悪い。
「関係って…」
高谷が眉根を寄せる。
そして、少しも考えることなく
「部員とマネージャー?だろ?」
「…だよな」
いや?いやいやいや、そんな過度な期待をしてたわけじゃないけどな。…マジで。
ただ、もうちょいなんかこう、さ。
友人とかいってくれるんじゃねぇかな、とか。思ったのは事実です。はい。
俺は勝手にひとり萎えて完結していたのに、高谷はまだ終わってなかったらしい。
「…ナニ」
突き刺さるような視線に気づき、うわーみたくねぇなーとか思いながらも視線をむける。
「なんで?」
「なんでって?」
「あー…だから、なんで突然そんなこと聞く?って意味でのなんで」
なんでって言われてもな。
お前のことが好きみたいだから。
…なんて言えるか?いや、言えるわけ無いじゃん。そうだよ、言えねぇよ。
「はぁ…」
「人の顔見てため息つくなよ」
「…ないわ」
片手で額をおさえて心からつぶやく。
「なにがないんだ」
「ん、んー…?」
なにがって、決まってんじゃんか。男を好きになった俺が…だよ。
それに気づいちゃった俺も。
ほんと俺さ…
「…ないわ」
本当失礼だなお前、なんて言って苦笑を浮かべている高谷に例の心臓の病気が発作してる俺ってなんなの。バカなの?
なんかもーさ。
マジで俺、自分がいやだ。
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