±さあ、おはよう。(1/4)
朝焼けが綺麗な日だった。
身体の重みに耐えながら、
そっと手を伸ばし携帯電話を開く。
ふぁ、と大きな口を開け
欠伸をしながら、瞼を数回擦った
明るい画面には何件かの着信を示すマークが着いており掛かって来た時間を見てみれば、非常識な時間帯で普段の彼ならありえない出来事だった
今の時刻は6時。
今掛けても充分、非常識な時間帯
しばらく迷った後、変に胸騒ぎがして掛け直す。
妙な緊張感の続く3コール。ぷつり、と音がして柔らかい、声が聞こえた。
柔らかな、心地良い声。
なんだが、それだけで泣きそうになる。
「あんな夜中にどうしたのよ」
「ん?いや、声が聞きたくてさ」
「…なんてね。本当は君に好きって伝えたくて」
そう、聞こえた瞬間。なんだ、そんなことか、なんて思った。日付を見てみれば、今日は4月1日だ。
彼はそれほどまで洒落た人間だっただろうか
それほどまで詰まらない人間だっただろうか
「いやな冗談やめてよね、ばか」
とくん、と胸が小さく鳴った。
ソレを誤魔化すように笑うと、彼は言葉を紡ぐ
「嘘じゃないよ、」
やけに真剣そうな声に言葉を止める。
時が、止まったようだった。