あるカップルの話


あるカップルの話 1/1



「男に色目使ってんじゃねぇよ」

彼氏に言われた。

『……は?』

「フラフラすんなってこと」

『してないよ?何それ?』

「お前、見ててムカつく」

『ぇ……何でそんなこと

言われなきゃいけないの?』

あぁ泣きそうだ

なんなのあたしの彼氏は…

もう知らない

意地っ張りのあたしは、

彼を見ないでスタスタ歩き出した。

せっかく久しぶりに

一緒に帰ったのに。

最悪だ…

気付いたら頬から涙が流れてた。

あーもう本当最悪。

歩きながら友達に電話をかけた。

"もしもし?聞いてよ!!

なんかさっきね、彼氏に

男に色目使うとか言われたんだけど…

もう意味わかんない!!

ほんと最悪だよ…

せっかく一緒に帰るの、

楽しみにしてたのに…"

あれ?

友達は黙ったまま。

"もしもし…?"

すると、後ろからギューっと

抱きしめられた。

「馬鹿、ちゃんと確認しろよ」

『ぇ……?』

「お前、

俺に電話かけてどーすんだよ」

『えぇ?!う、嘘?』

「馬鹿。

つーか最悪とか言うなよ、

嫉妬してただけ、ごめん。

お前可愛いから

他の男に取られそうでやだった。

あー泣くなよ…」

彼が耳元で言った。

『も…馬鹿…』

「馬鹿はお前だけどね」

『お前じゃない…』

あたしが言うと、

「七海、」

彼が急にあたしの名前を呼んだから

ドキッとした。

『…///』

「顔真っ赤だよ?」

『うっ、うるさい!』

「七海、」

彼はもう一度あたしの名前を呼んで

チュッ

と、唇にキスをしました。

「好き」

『…///あ…たしも』

「ん、ちゃんと言って?」

『…好き』

「やべ、可愛い。ん、」

彼はあたしに手を出した。

そして意地悪く言った。

「一緒に帰るの、

楽しみにしてたんだろ?」

『ちがっ…もぅ!うるさいー』

「違くないだろ?ん、」

そう言って彼はあたしの手を取り、

恋人繋ぎをした。

『…あったかい』

「七海の手、つめてぇな」

『冬だもん』

「こっちのがあったかいか」

彼はそう言って

繋がれた二人の手を、

ジャンバーのぽっけに入れた。



[完]



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