ワールドエンド
「ね〜僕呪い解けてないんだけど」
遠慮がちに順造が言うとトキは素早く振り返り順造を上から下まで眺めるとハッと口を抑えて震えだした。
「いつの間に小さきお体に!」
「気付くの遅くね?」
「いえ、元々小さかったもので」
「あ―なんか想像できる」
「ちょっ泣いていい?」
順造が半ベソかきだしたから身長談義は中止。そしてトキはそんな彼を懸命にあやし俺はそんな二人を見ながら奇妙だなあと思う。てゆうか寧ろゲロ臭い室内の方が気になる。
「まあ何でもいいから帰れ。俺は傷心中なんだよ。寧ろ気を使え。」
「それが飛空石無いんですよね」
「はあ!?」
「これには理由があるんです」
トキが表情を曇らせながら遠慮がちにぽつりぽつりと話し出した。
ヘルグランド王国は優秀な黒魔術師を多く輩出することで有名である。そして50年前に即位した王は植物や動物を愛する優しい性格であった上、幼い頃から鬼才と呼ばれるほど魔術に長けており民からの信頼も厚かった。
――しかし30年前。謎の軍隊が攻め込んできた。しかも禁忌とされる『心を操る魔術』を使う集団だった。
次々に洗脳されてゆく民を前に王は悩みに悩んだ。そして悩み抜いた王はトキを呼び告げた。「息子を頼む」と。ベッドでスヤスヤと眠る息子――つまり順造に近寄り抱き上げると最後の別れを惜しむように抱き締めた後トキに抱かせ空間転移の魔法をかけた。
トキには王が何をするのか分かっていた。それは代々王家に伝わる究極魔法。自らの体に受け継がれる強大な魔力を解き放つことで大爆発を起こすというもの。ただし発動すれば術士は、死ぬ。
今更止められ無いのは分かっていた。止めたって聞く人ではないから。王が何か唱えると足元には魔法陣が広がる。トキは心配そうにその背中を見つめるとそれが通じたのか彼は振り返り微笑むと一言だけ言った。
「どうかお元気で」
残酷な別れに思わず目を瞑ると次の瞬間には別世界へワープしていた。王がどうなったのか知らない。国がどうなったのかも知らない。ただ順造が腕の中にいたのは確かだった。
「まあ…大変だったんだな」
「はい、それからとにかく順造様を守るのに必死で。テレポートのための飛空石も売ってしまったんです。」
「でも途中ではぐれちゃったね」
「あ、そうだよな。何で?」
「それは……」
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