明日も君を
[アオイの過去](1/26)
「夢の中で彼女は交通事故にあったんだ。…今でも忘れられない。夢の中のカレンダーは5月11日だった。
目が覚めて、あまりにもリアルなその夢に気味が悪くなって。
カレンダーを見たら、4日だった。
予知夢を見た、と思った。
一週間後に彼女が死んでしまう夢を見たんだよ、怖くて不安で仕方なくて。
彼女に伝えたんだ。
そしたら彼女は笑って言った。
”夢を話したら正夢にはならないのよ”って。
それに安心した俺はその日一日夢のことなんて忘れてた。
でもその日の夜、また同じ夢を見た。
だから俺は目が覚めたらまた彼女にその夢を伝えた。
その次の日も同じ夢を見て、その次の日も、その次の日も。
見る度に俺は彼女に伝えた。
正夢にならないように。」
そこで彼は口を閉ざした。
言葉にすることを躊躇っているみたいに。
また口を開いた時、彼の声は震えていた。
「…でも、彼女は死んだ。夢で見たのと同じ日に、夢で見たのと同じように交通事故で。」
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