リナリアガール(旧:マツリカの彼女)
[リナリア談義](1/14)
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そよというのは隣のクラスの女の子で、確かに可愛いと言うほかない容姿を持ち合わせていた。
だけどそのことをあえて口にするほど切羽詰まっていたわけではないし、ましてや本人を前に伝える日がやってくるとは思いもしない。
なんの予兆もなく訪れたこの現象に、俺は身体の震えが止まらなかった。こんなに穏やかな陽気だってのに。
5限目の授業が始まってもなお、昼休みに見た彼女の姿を思い出しては額にたらりと汗が流れ落ちる。
あのゆらめくような花びら、すべての色彩が集まり夢のようになびく髪、そこにぱっと映えて微笑む彼女の表情……。
ペンケースに仕舞ったあの花の一房が、窓からさしこむ風に静かに揺れはじめる。思わずノートの上にシャーペンを落とした俺は、両手を見つめたのち────
「ああっ」
自分でも気づかないうちに顔をおおって叫んでいたらしい。
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