浦島太郎10452号
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[竜宮城と乙姫](1/12)
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「カメを助けてくださった初代浦島さまを帰してすぐ


乙姫さまは何故か頻繁に人間を竜宮城に招待するようになりました」




****

乙姫の真意は、誰にも知らされなかった。

毎日のように人間の男を招待しては

媚びるような素振りをしながら共に時間を過ごす。



ある時には

当時の高級船に乗る多くの男たちを一気に招待したりもした。


…乙姫は、笑っていた。



だけれども






―――なぜなのか。

竜宮城は静かに荒廃していった。


****


『なぜ。』


『乙姫さまは笑っているのに』

『なぜ。』


****

竜宮城にはあらぬ噂も流れていた。


―――乙姫さま、ご乱心。

乙姫の変貌ぶりに竜宮城を去る魚たちも多かった。

しかし



『人間と共にいすぎて

疲れていらっしゃるのだ』








誰かがついに、そう言った。


本当は、本当にそうかはわからなかった。

だけれども
乙姫が昔と別人のように人間に媚びるような素振りをしているところを、


もうみたくなかった。


乱心だなんて、信じたくなかった。



それが本音だった。







――――人間を呼ぶことは、禁止された。


側近たちが中心となって説得したのだ。

竜宮城の存続のために。


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