勝手に宣伝する男
[ブルボンのルマンド編](1/1)
[勝手に宣伝シリーズその2 ブルボンのルマンド]
公園で少女は泣いていた。
「えーん、えーん、悲しいわ。わたし、悲しいのよ。えーん、えーん」
「どうしたんだい、お嬢ちゃん」
「おじさん、わたしの話、聞いてくれるの?」
「ああ、もちろんさ」
「わたし、お菓子を食べたいと思って、ウサギさんの貯金箱を割って、全部のお小遣いをかき集めて、コンビニに行ったの。そして、チョコを買ったの。そしたら、美味しくなかったの!パッケージには、“美味しいよ”って書いていたのに!うえーん、うえーん。わたし、水分だけ奪われたのよ!そのチョコレートに!うえーん、うえーん」
「なんだって!水分だけを!」
「しかも、しかも、わたし、わたし…」
「どうしたんだい?」
「うんうん、いいの。なんでもないわ」
「おじさんを信頼して、言ってみて!」
「昨日、お誕生日だったの。うえーん、うえーん」
「なんだって!?誕生日に、不味い味のくせに舌の上に乗ってきて、水分を奪われた!?大人を代表して、謝るよ!」
「もういいの。わたし、死ぬの。最後におじさんみたいな優しい人に会えて良かったわ」
そう言うと、少女は、持っていたナイフで手首を切ろうとした。
その瞬間、目の前のステッキを持った紳士が、少女の口の中に、何かを投げこんだ!
パクッ!
間に合った!ナイフはまだ手首に食い込んでいなかった!
「美味しいわ!わたし、生きる!」
少女はこうして救われた。
お菓子の名はルマンド。
ブルボンが作った美味しいお菓子。
ルマンドになら、水分を奪われてもいい。少女は、涙を流しながら、ルマンドを頬張った。目から水分は流れ落ち、ルマンドには水分を奪われ、少女は脱水症状で生き絶えた。
しかし、その顔は、とても美しく、和やかな、まるで結婚式当日の花嫁のような幸せそうな顔であった。
その後、紳士は総理大臣となり、ルマンド法という法案を通した。
[ルマンド法]
@ルマンド以外のチョコレート系のお菓子を生産する場合は、農水省の許可を得なければならない。
A認可を受けた新製品のお菓子がルマンドより美味しくなかった場合、死刑。
この本の著者のハクション中西も、ルマンドが大好きで、ルマンド以外のチョコレートがまずいと激怒している。
「お菓子メーカーは新製品の会議のときは、常にルマンドを会議のテーブルの上に置いとけ!で、ルマンドよりうまいかまずいか、だけを基準にせえ!」と常々、言っているのであった。
今回の商品。
ルマンド
“幾重にも重ねて焼きあげたサクサクした歯ざわりのクレープクッキーをココアクリームで包みこみました。昭和49年に発売されて以来、長きにたり、ご愛顧いただいてる商品です。”
ブルボンのホームページより引用いたしました。
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