私、監禁されました。
[no.11](1/24)




ーーーーー神谷 sideーーーーー


神谷……


まだ、俺は神谷ではなかった頃……


俺が産まれた時から、父親はいなかった。


母親がキャバ嬢をしてた時にできた子供が俺。


望まれて産まれた子供じゃない。


そう知ったのは、10歳の夏。


「今日から神谷の子だから。」


かみや


母親の言ってる意味が分からなかった。


突然、なんの前触れもなく、何かのついでのように言い放った言葉を理解するのに時間がかかった。


まず、


「誰?」


そこからだった。


かみやなんて人は知らない。


「涼の本当の父親。

今日から父親と暮らしな。」


父親?


いきなりそんな事言われても


母さんは?


「母さんも一緒に行くだろ?」


「行かない。

今日から涼とは他人だから。」


……やっぱり、母親の言ってる意味が分からなかった。


でも、後で嫌という程、意味を理解するはめになった。


母親は、俺を売ったらしい。


今まででは考えられない程の大金と引き換えに、俺を神谷家に捨てた。


義母から嫌味のように毎日聞かされた。


その日から、俺は少しずつ俺でなくなっていった。





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