儚き世界にて、
7.(1/8)
7.
「……早すぎた。」
今日は土曜日。
そして明日は、体育祭。
そんな日の午後一時半、私は駅前の公園にいた。
『明日、デートしよ。』
昨日の帰り、唐突に言われた言葉。
驚いたけど、もちろん断る理由はなく。
二時に、駅前公園って約束して。
三十分前は、さすがに早すぎた。
…急に、どうしたんだろう。
しかもよりによって、体育祭の前日なんて。
「夢乃さん!?」
「あ、やっほー。早すぎちゃった。」
「ごめん、結構待った?」
謝るけれど、まだきてから五分しか経ってない。
広夢くんも十分早いよ。
「私服って、初めて見るかも。」
実は私服で遊んだことなくて。
昨日の夜、めっちゃ悩んで服決めてたのは、秘密。
「かわいい、夢乃さん。」
さらっと、完璧な笑顔で言われる。
美少年のこれは、反則。
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