暗い穴
[ダレ](1/6)


次の日。


長い夏休みも残り10日…



今日は運動会係の打ち合わせがある日だ





前日のこともあり、
腹巻とはどんな風に接していけばいいのか分からず
友梨香はずっと考えていた





「おはようございます。」




腹巻の姿を探していると後ろから声をかけられる




「あ、腹巻さん。」




笑顔で話す腹巻は思っていたよりも元気そうに見えた





「後で、話いいですか?」




「はい、私も話したい事があるので。」




翔平のいない場で悪いとは思ったが
自分からも謝罪はしなければならない




翔平からの謝罪は改めてさせてもらおう。




話の進行を務める腹巻を見ながらそう思う友梨香だった



「すみません!待たせてしまって。お子さんたち大丈夫かな?」



集まりの後、父母の会の役員だけが残りミーティング
が開かれいた


10分ほどで終わり友梨香はさほど気にはしていなかったが腹巻は申し訳なさそうにやって来た




「大丈夫です。
上の子はもう昨日からお泊りで、今日は次男も一緒に母に預けて夕方までお出かけするって言ってましたから。
旦那にも今日のこと言ってるんで。」




「そっか。それなら良かった…。」



安心した顔を見せると早速あの話題になる





「今回のことは本当にすみませんでした。
妻のことをほったらかしにしたばっかりに巻き込んでしまって。」





「いえ!そんな!
うちの旦那も、自分と夏菜子さんがしてしまった事で腹巻さんは悪くないって言ってました。
だからそんな風に謝らないで下さい。
それに、私も始めは旦那のこと見て見ぬ振りしてたし…
本当にすみませんでした。」



「いや、そんな…」


頭を垂れて話す腹巻


「それより昨日のメッセージ。離婚されるんですか?」




「はい。実は夏菜子の方から言われまして。話し合いした結果、子供達は自分が引き取る事になりました。
早々に離婚します。」



「そう、ですか…」



「けどスッキリしてます。」


顔を上げると、たしかに何かスッキリしたような面持ちでいる



「遅かれ早かれこうなる運命だったんだと思います。
子供達と3人心機一転やろうって話していて、今腹巻家は凄く元気なんですよ!」



腹巻が明るく話す様子を見ながらあの白紙に書かれていた文を思い出す




本当にこの人は妻の不倫の当てつけで私を狙ったりするような人なんだろうか、
と。



そして麻衣子との関係も気になっていた



「あ!」



腹巻は思いついたように声を上げ、
友梨香の顔を見つめる



「?」

急にどうしたのかと思っていると



「いっつもこんなところで話してますよね。すみませんお茶の1つもないとこで。
良かったら最近できたカフェあるんで行ってみませんか?
というか、話に付き合ってくれませんか?」



あまり見たことのない腹巻の姿に胸がキュッとしまる


子供たちはいないし翔平にも少し遅くなるとは伝えてから来ている



何より自分たちも関係する大事な話だ



行って悪いことなんてない



「はい。行きます。」


「良かった!車は?」




「旦那に送ってもらってるんで帰りは迎えにきてもらう予定でした。」




「それなら一緒に乗って行きましょう。帰りは家まで送ります。」




「ありがとうございます。」





大事な話を聞きに行くんだと思っていても
腹巻からのお誘いにどこか嬉しく感じてしまう友梨香だった




白紙の事もすっかり忘れていた












- 46 -

前n[*][#]次n
/55 n

⇒しおり挿入


⇒作品レビュー
⇒モバスペBook

[編集]

[←戻る]