楽園の探求者
[10、神代の終わり](1/2)
頭上から雫が落ちた。
セルーナが上を向くと、灰色の雲から雨粒が落ちてきた。
やがて雨足は強くなり、セルーナの涙と混ざった。
大地には緑の草が生え、人々は水の恵みに喜ぶだろう。
命の実りに喜ぶようになるだろう。
セルーナは大罪を犯したことによって、楽園を得たのだ。
「〈全てが一つになる夜〉を防げたんですね」
サンギスの言葉にセルーナははっとして振り返った。
「サンギス、さっきの言ったこと、もう一回言って」
「え? 〈全てが一つになる夜〉を防げたんですね? もう、神のために争う必要はないんですね?」
セルーナはマダーナンの言葉の真意が分かり、顎に伝った涙と共に、笑顔をこぼした。
〈全てが一つになる夜〉が来れば、世界の境目が消えて、仲間を〈青の世界〉に引き戻すことが出来る。
〈青の世界〉に戻った時、一族は楽園を得たことを知るだろう。
- 29 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり挿入
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
[編集]
[←戻る]