楽園の探求者
[9、原罪](1/3)
 〈大主神〉はもはや無害の人間に目を背け、火の神に指を突きつけた。

「ロゲシュル。そなたを裁かねばならぬな。人間を連れ、神の血で神殿の床を穢した罪を。そなたの世界を渡る能力を奪い、暗黒の炎に燃える地獄に追放することにする!」

 ロゲシュルは悲鳴を上げ、必死に念じた。

だが、これまでのように異界への扉は開かなかった。

彼は神殿を駆け、逃げようとした。しかし、彼の背後に黒い影が出来上がった。

セルーナは地獄の扉が開いたのを見た。

その扉はロゲシュルを飲み込み、姿を消した。

「さて、人間よ。お前の裁きは寛大にしてやろう。――何を持っている?」

 セルーナはマダーナンの剣を持っていた。

光に目が眩んだが、〈大主神〉の胸に突きつけた。

「神々の大戦をやめなさい」

「神を脅すか?」

「わたしたちは操り人形として生まれたんじゃない。個々が意志を持ち、感情を持っている。

それを否定するあなたが神ですって?」

「神は人間の上に立つのだ。そなたは神の手から離れようとして、ロゲシュルに従っていることになっているのだぞ?」

「いいえ。ロゲシュルは自分自身の力であなたを滅ぼすことを望んでいた。彼の望みは永遠に叶わない。神々の大戦は始まる前に終わりを迎えるのよ」

 〈大主神〉は嘲り笑った。

「そなたは、人間との共存者を殺そうとしておるのだぞ? 

人間は我らを現象の理由として引き出し、崇めることによって恩恵を授かれると信じた。


人間にとって神は、あまりに残酷な世界を生きるための唯一の救いなのだ。


我らは人間を必要としていない。人間が神を必要としているのだ。そなたは、その者らを導き、希望を与えることが出来るというのか? そなたは自らが神になれるというのか?」



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