zwei(1/4)
突然あの人から大きな荷物が届いた。
最後に会ったのは2年前の春。
大学受験に落ちた時だ。
「この金食い虫の役立たず」
そう言い放つと、すぐに車に乗ってどこかへ行ってしまった。
きっと自分の家に帰ったのだろう。
ここじゃない家。
私が居ない家に。
荷物を運んできた男の人はこう言っていた。
「杉田博士がいつも貴方の事を気にかけていましてね。
自分が留守にしている間、何かあっては心配といつも話していて」
自分が留守にしている間?
あぁ、一応あっちでは私たちは一緒に住んでいる設定なんだ。
本当は高校生の時から別々に暮らしてるのにね。
「まだ試作の段階だけど杉田博士が創った物だ、きっと大丈夫だろう」
男の人が大きなダンボールを丁寧に開封していく。
出てきたのは・・・・・・・・・人間?
「これは君のボディーガードだ。こう見えてロボットなんだよ」
へぇ〜ロボットなんだ。
あの人、きっとこれで私の事を殺す気なのね、なるほど。
男の人はボディーガードについて説明をしていた。
充電のやり方だけしっかり聞き、その他については聞き流す。
「これがあれば何があっても大丈夫!安心して、しっかり勉強してね」
「ありがとうございます。これで私も安心して生活が出来ます」
精一杯の作り笑顔で見送った。
とりあえずこれからバイトに行かなくちゃいけないし、充電だけして電源を入れるのは帰ってからにしよう。
果たして本当にコイツは私の事を殺してくれるのだろうか。
それとも守ってくれるのか。
どっちにしても早いところ決着をつけて欲しい。
だってコイツを充電するのに電気代がかかるじゃない。
家賃も光熱費も全部私のバイト代から捻出してる。
あの人は生活費なんて一切くれないから。
1円でも惜しいんだ。