あの日から、ストレスが溜まればすぐに解禁区で発散するようになった。ストレスが無くなったからか、笑顔が多くなって、友達とはまだ言えないけど、人と話すことも少し多くなってきた。
解禁区で暴れ回っていたからか、異名が『駆け巡る音無き鈴』に変わってたけど、それも忍者みたいで何かカッコイイから気にしない。
少しずつだけど、充実して来たそんなある日、教室に1人の先輩が現れた。
「鈴原さんー先輩が呼んでるよー?」
先輩?私先輩の知り合いなんていないんだけど……
教えてくれた男の子にお礼を言って、ドアの方へ行く。そこには、私の頭1個と半分くらい身長が高い男子生徒が立っていた。
?「君が鈴原さんかな?」
空音「はい…そ、そうですけど……」
この人どっかで見たことあるな……あ、わかった。この人うちの生徒会長だ。入学してずっと学年トップだって隣の席の子が言ってた(盗み聞き)。3年生の、えっと……
?「自己紹介が遅れました。俺は生徒会長の豊浦 和也です」
あ、そうそう。豊浦 和也先輩だ。この時は、まさか私の彼氏になるだなんて思ってなかったなぁ……
空音「は、はぁ……しょ、んん。そ、それで。私に何か様ですか?」
緊張しすぎて怒ってるみたいな言い方になっちゃった……同級生との会話は少し慣れたけど、先輩はまだ怖いな…
和也「ええ、ちょっと。生徒会室まで良いですか?」
ふぇぇ!?な、何かしたかな……
そんな事を思いながら、クラスの人の視線に気付く。此処で見られるくらいなら行った方がマシだよ!
空音「ひゃ、ひゃい!」
和也「ありがとう。それじゃあ……」
豊浦先輩は微笑んでから、生徒会室に向かった。私は顔を真っ赤にしながら付いていく。
これが、私を優しく縛ってくれる、鎖を使う王子様との出会いでした。