Music of Frontier
[外伝T〜tranquillo〜](1/17)
──────…秋から始まった、『frontier』の全国五都市ライブツアー初日は、満員御礼の大盛況であった。
ライブの後、俺達はライブ後恒例の打ち上げを行っていた。
「うぇーい!乾杯!」
「何でお前が音頭を取るんだ、ミヤノの役目だろそれは」
お酒の入ったグラスを掲げるエルーシアに、すかさずルクシーが突っ込みを入れた。
俺は苦笑した。
「別に良いよ、誰が音頭でも」
ようは乾杯出来ればそれで良いんだから。
ベーシュなんか見てみろ。気にせずぐびぐび飲んでる。
今日も良い飲みっぷりだ。
「それにしても、楽しかったですね〜。ライブ」
ルトリアが、烏龍茶片手に嬉しそうにそう言った。
全く同感だ。
「おいおい、ルトリーヌ。もう満足しちゃってるのか?ツアーはまだ始まったばかりだぞ?」
「そ、そうですけど」
「来年のライブツアーも、無事決まったしな」
「それな!」
そうなのだ。
来年も全国ライブツアーを開催することが、先日、正式に決定した。
しかも来年は、五都市と言わず、開催都市はもっと増えるらしい。
今から楽しみである。
「本当…ここまで来れたのが、夢みたいだな」
思わずそう呟くと、エルーシアが呆れたように、
「おいおい、勝手に夢にすんなよミヤーヌ」
「そう、全部現実だぞ?」
「分かってる、分かってる」
現実だ。信じがたいことではあるけど、これは確かに現実なのだ。
まさか、自分達がこんなところまで来られるとは…思ってもみなかったものだから。
感慨深さと共に、俺は自分が歩んできた過去を思い出した。
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