大きな恋のうた
[再会](2/9)
あの日からまだ10日ほどしか経っていない。
確かに茨木は彼の学校から近いので、わりと気に入ってはいた。
が、今は行きたくない。
どこよりも行きたくない。
魔王が棲む店。

「茨木には魔王…あ、いや、はい、わかりました」
そんな言い訳を理解してもらえるはずがないので、彼は仕方なくその提案を受け入れた。
100%魔王がいるわけではない。
魔王、いや、コニーとて、毎日バイトに入ってるわけではないのだ。
遭遇確率はせいぜい50%程度。
しばらく何の憂いもなく生活していた彼は、どこか感覚が鈍っていた。
間違いなく鈍っていた。
その鈍りをこの時の彼はわかっていない。
せめて学園祭が終わるまでは、魔王のすみかに足を踏み入れるべきではなかった。

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