雌狐と過ごした高校生
[再開](1/3)

「凛………なのか?」

十年ちょっと前
今はない神社で彼女と出会った

神社がなくなり
合う機会がなくなってしまった
あの日からその存在は
消えてしまったのだと思っていた
なんせ、俺以外には
見えてなかったからだ

「宏明くん大きくなったね!」

うわぁぁ、と
目をキラキラさせながら
ホコリを払いながら
立ち上がる自分を見つめる

「凛……こそ
成長したんじゃないか?」

身長はさておき胸元が
大人になった気がすると
言っては嫌われる気がして辞めた

「ところでどうしてここに?」

単純な疑問が湧いて
ついつい聞いてしまう

「…………」

すると凛は少し俯いて黙った

「あー、
聞いちゃだめだったか?」

手のひらを自分の
後頭部へと回して
焦りながら目を逸らした

「ぜっ、ぜんぜん
聞いてもいいよ?でも
恥ずかしいっていうか……笑笑」

「おっ、おう………」

「やり残しというか
未練というか、そしたら
神様が痺れを切らして
人間界にポイッとしてくれて
あはは……情けないよね」

顔を染めながら
照れくさそうに彼女は言った
良かった触れてもセーフだった

「その未練って?」

「えっ!?それは、秘密!」

尻尾をパタパタと振りながら
凛は嬉しそうに言った

「うん、わかった
 何ていうか、久々だな」

「ん?何が……?」

「いや、この感じ」

「うっ、うん」

「一緒に歩くか」

「そっ、そうだね」

すると凛はスッと
俺の手を握ってきた

「どっ、どうした?」

「あっ!変かな?!
昔はずっと繋いでたからつい」

ぎこちない空気だ
再開できてすごい嬉しい
幼馴染に再開した気分だ
急に妹ができた気もする

家族に出会った気分だ



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