I hear your voice
[The place where heterogeneous people gather](1/16)



「はい、んじゃ決定。
つーわけで、扉だして、ノバラ。」



ヤシの言葉にこくりと頷くと、ノバラは両手を広げ、バッと大きくてビリビリとした電気のようなものを出した。

それが円状になり、繋がると、固くて重そうな大きな扉が出現した。




「なっ!?」




「これが、本部とこっちを繋げるゲートみたいなもん。
オレ達"MSP"しか通れねぇ。」




「MSP…?」




「ん?…あぁ、まだ言ってなかったな。
MSPってのは俺たちみたいな変異特異性の人たち、すなわち"mutational specificity people"の頭文字をとったもんで、まあ、言うなれば愛称みたいなもんだ。」




「…へぇ。」






スラスラと難しい言葉を並べて説明するヤシにとても感心した。






(そんな呼ばれ方をしてるなんて…初めて知った。)





普通の人とは違う呼び方。

差別とはまた違うが、自身がもう普通の人間ではないことが思い知らされる。





「んな呼ばれっ方してっけど、みんないい人ばっかだから、細かい事は気にすんなよ。」



「うん。」





けれど、そんな事は少しも気にしなかった。

MSPには、俺と似たような境遇を持つ人…

ヤシやノバラのように、俺を認めてくれる人がいると強く感じられたからだ。





「開け。」




ノバラが扉に向かって言うと、ギギギギッと鈍い音をたてながらゆっくりと開きはじめた。




「さてと…行くか。」




ニコリと笑うと、ヤシとノバラが俺の手をひいて扉の中へ入って行く。


進むと扉より先に入った部位が眩い光と共に見えなくなった。




ービリビリッ!




「うわっ!?」




扉に手が入った瞬間、静電気のようなビリビリとした感覚が身体を伝う。

一瞬怯んでしまい、思わず目を閉じたが、二人に引っ張られるがまま、扉の奥へと入っていった。







 ーーーーー











「……ん?」




ゆっくりと目を開けると、そこはさっきとは全く別の空間。


人はいるものの…皆獣耳が生えている。

オマケに尻尾も……


辺りを見回してみると、そこはまるで大きなショッピングモールみたいな構造をしていた。

少し違う所を上げると、あるのは店ではなく、研究室や部屋ばかり。

ショッピングモールというより、広い病院と言った方が合っているのかもしれない。





二人を見てみると、ヤシもノバラも、さっきみた格好。

すなわち獣耳が生えている状態(オマケに尻尾までついてる)だった。

二人がくるりと振り返る。





「ようこそスグリ。
オレ達の世界へ。」





"おかえりスグリ…

ずっと待ってた…"










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