[終の色](1/6) 夢を見ているのではないかと、その表情を、その声を、その言葉を疑った。 律君はユリさんから離れられなくて、漸〈ようや〉く離れた今はきっと戸惑っていると思っていたから、まさか律君からその言葉が聞けるとは思っていなかった。 というよりも、律君があたしのことを好きって思っていてくれたことが驚きだった。 本当に千広君が言っていた通りだった・・・。 「ののと会って、話すようになって、気にかけるようになって、それからずっと好きだった」 答えなくちゃ。“あたしも律君が好き”って。 「でも、ののはそうじゃないよな?」 「は・・・?」 「このままだと、お前も俺と同じ道を辿ってしまう」 律君と同じ道を辿るって一体どういうことなの・・・? 「悪い。分かりにくいよな」 「頭悪くてごめん・・・」 「いや、俺が突発的なことしか言葉にしてないから分かりにくいのも無理ない。ユリの話をした時に俺、俺を通して誰を見てる?って聞いただろ?」 「うん・・・」 「もう一度聞く。お前は誰を見てる?」 あたし、誰を見てる・・・? ⇒作品?レビュー ⇒モバスペ?Book? [編集] *戻る* |