[思の色](1/7) 「うぅ、痛い・・・」 体育祭も終わり、一週間振りの休みの日、筋肉痛になりました。 「お前体育祭とか全力でやるタイプだったけ?」 珈琲カップを片手にリビングに降りてきたお兄ちゃんを見て溜め息をつく。 「色々あったの。あ、来た」 「誰が?」 「梓だよ。今日来るって言ってたから」 痛い足を動かして玄関まで行き、ドアを開けた。 「約束通り来たよ、のーちゃん」 梓のことは卒業式の答辞代表で見たきりだ。 「約束はしてないけどね。まぁ入りなよ」 「お邪魔しまーす」 リビングに案内すると、梓を見たお兄ちゃんがコト・・・と珈琲カップをテーブルの上に置いた。 「え、梓・・・?」 「久し振り、絢」 「お前、そんなにでかかったか?」 「やだなー。最後に会ったのって俺が小学生の時でしょ。そりゃあ大きくもなるって。同じ中高だったのに一回も会わなかったからね」 「県外の大学に行ったって聞いたけど」 「県外って言っても電車で帰ってこれる距離だからね。大学も休みだし、今日はのーちゃんに話があって帰ってきたんだ」 「じゃあ俺は部屋に行くわ。ののに手は出すなよ」 「冗談きついよ、絢。俺がこんなちんちくりんに手を出すわけないでしょー」 「確かに」 確かに、じゃないよ! ⇒作品レビュー ⇒モバスペBook [編集] *戻る* |