浅葱色を求めて…
本物 ( 1 /7)



本物の武士…か……

ちぃ…
まだ生死を彷徨ったばかりのこいつ……

体調も万全じゃない

なのに、
人の為に…壬生浪士組の為に……
俺達の為に……

お前は真っ直ぐぶつかってくれる…


俺は…
また何もしてやれなかった……

「近藤さん
ちぃが何で
”土方さんの為に”って言わねえと思う?」

総司を近藤さんが助けたみたいに
千夜を助けたのは土方……

だけど、千夜から
”土方さんの為”とは聞いたことない…
沖田、近藤にもわかるわけない問い…

「完璧な人間なんて居やしない…
組には人色んな奴がいる…

そうだな、
剣術と同じだ
色んな流派がある

それと同じで組には
色んな考えを持った奴が居る…

その数だけ人の考えも色々だ……

誰かがつまずいても
他の誰かが支えてくれる

それが組だ。

俺だって間違う……
人間だからな……

だからちぃは、

みんなが命を賭ける
”壬生浪士組”の為っていうんだ…」


いつの間にか眠りについてしまったちぃは笑っているよう…

「歳……。」

「近藤さん…僕……

僕は、近藤さんの事尊敬してます!

だけど、芹沢派だから殺すとか


間違ってる!


……そう思う……」


カタカタ震える総司

間違ってるって言うのが
どれだけ勇気がいるか…

「総司……」

辛えな…近藤さん…
だけど俺は、
あいにく支えてやる手がねぇ

壬生浪士組の局長なら
自力で立ち上がってもらわなきゃ
困るんだよ。

ちぃ、総司はお前の言う通り強くなる…

お前は寝てるから見えねぇだろうけど
あいつの目、
お前にそっくりだ……

総司はやっと一歩踏み出したぞ…


たった一歩……

されど一歩……

間違えず俺達は歩めるか?
先の事なんかわかんねぇ……

今を大切にしていくしかねぇんだ

俺達は……


- 111 -

<<back next>>

>>🔖



<<home.