偽りの絆


 はじまりは (1/20)




6年前、大学3年。

男女関係なく仲良くしていた私達。

普段一緒にいる女友達、

友達繋がりから仲良くしていた男友達、

話題が共通の女友達、

講義が同じで仲良くしていた男友達、

色々だった。


季節は春から梅雨、夏へと移ろうとしていた。



ざわつく廊下。沢山の学生。

「市川さん、公衆衛生学のノート貸してくれない?」

声のする方を見るとその人が近寄ってくる。

「平田くん…。いいけど。」

「やった、ありがと!美砂に見せてもらったら見やすかったから俺も欲しいな〜って。」

人当たりの良い、ごく普通の男性。

仲良しではないけど男友達繋がりで会話したことは何度かあった。


講義に向かう途中で美砂を見つけた。

友人と携帯を見せ合いっこしながら談笑している。

「美砂ぁ〜」

「ん、なに?由夏」

気になっていたせいか話し掛けてしまった。

「平田くんにノート見せたの?」

「あぁ、コピーしてたら勝手に見てきた。マズかった?」

「ううん、美砂が許可して見せたならいいの。」

「何か言われた?」

「特に何も。」

美砂の友人らしき子に会釈をして先に講義へ向かう。


この時はこの程度の関係だった。

これが、全ての始まりだった。

- 1 -前n|次n
し お り
/20 n
  
  
⇒作品レビュー
⇒モバスペBook
  
  
BACK