美少女は保護られる
★[そんな君が気になります](9/9)
私は赤くなった顔で勢いよく声を出した。

「ちっ、違う!違うもんっ!!」

なんて事だ……。
ひ、ひぃくんを好きだなんて……
そんな事あるわけない。

違う、絶対に違う。

カーッと熱くなる顔に、自分でも動揺が隠せない。

確かにひぃくんの事は好き。
だけど、恋とかじゃない。
幼なじみとして好きなだけ。

大体、さっきだってひぃくんのせいで酷い目に合ったのだ。
そんな人を好きになる訳がない。

そう自分に言い聞かせる。

「かのーん!」

ーーー!?

いきなり飛び付いてきたひぃくんに、私は支えきれずに後ろへ傾く。

えっ……ここ、ベンチ。
落ちるっ。
私はギュッと目を閉じて衝撃に備えた。

あ、あれ……?
痛くない。

恐る恐る目を開くと、目の前にはひぃくんらしき胸板が。

「おい、ふざけんな響」

背後から聞こえるお兄ちゃんの声。

私はお兄ちゃんを下敷きにして倒れていたのだ。
きっと私を庇ってくれたお兄ちゃん。

上にはひぃくん、下にはお兄ちゃん。
笑えない……。
何このサンドイッチ。

「早く退け、重い」

ごめんなさい、お兄ちゃん。
私動けません。
苦しくて声すら出せません。

全く退く気のないひぃくんは、私の上で「かのーん。かのーん」と嬉しそうな声を出している。

く……苦しい。

苦しさに少し顔を動かすと、中庭にいる生徒達が視界に映る。

三人で抱き合ったまま転がる私達。
そんな私達を見て驚く人、クスクスと笑う人……

また私は皆の前で醜態を晒《さら》してしまったのだ。

……もう嫌。
なんでいつもひぃくんてこうなの。

絶対にひぃくんを好きだなんて有り得ないよ……。

私の上で嬉しそうな声を出しながら揺れているひぃくん。
私はひぃくんに抱かれながら、苦しさに顔を歪めた。

お願い、揺れないで……。
苦しいし……恥ずかしい。

その後、お兄ちゃんが無理矢理ひぃくんを退けるまでの間、私はずっと潰れた蛙のような呻き声を上げていたーー。


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