美少女は保護られる
★[君はやっぱりヒーローでした](2/8)

顔を俯かせてビクビクとしていると、大きく溜息を吐いたお兄ちゃんが口を開く。

「響が一緒だったんならまぁ、いいよ。もう嘘は付くなよ?」

……え?いいの?
だってひぃくんだよ?
私は全然よくないよ?

何だかんだお兄ちゃんはひぃくんを信頼しているらしい。昔からそう。
最終的には、ひぃくんが一緒ならいいと言ってくれる。

何で?
……何でかはわからないけど、とりあえずこの場は助かった。

ひぃくん、たまには役に立つね。
チラリとひぃくんを見る。

「わかったの?花音」
「はっ……はい!わかりました」

ひぃくんを見ていた私は、お兄ちゃんの声に驚いてピシッと背筋を伸ばすとそう答えた。
私の返事にニコリと微笑むお兄ちゃん。

良かった……。
安心した私は、再びお弁当を食べようと視線を下げる。

あっ、お箸落としたんだった……。
どうしよう、食べれない。

地面に転がるお箸を見つめていると、私のすぐ横からお箸の握られた腕が伸びてきた。

横を向くと、ひぃくんがニッコリ笑って口を開く。

「食べ終わったから、使っていいよ」
「……ありがとう」

私は素直にひぃくんからお箸を受け取ると、食べかけだったお弁当を食べ始めた。
すると、やけに隣から視線を感じる。

何だろう?
そんなに見られると食べにくい。

「美味しそうだねー」

隣から聞こえる声に、小さく溜息を吐く。

もう……。
まだ食べ足りないからって、そんなに見つめないでよ。
言ってくれれば分けてあげるのに。

「食べる?」
「えっ! いいの?!」

嬉しそうにキラキラと瞳を輝かせるひぃくん。
子供みたいなその姿に、思わずクスリと笑みが溢《こぼ》れる。

「いいよ」

私は笑顔でそう答えると、ひぃくんが好きな玉子焼きをお箸で掴んだ。
そしてそのお箸をひぃくんの方へと差し出す。

「いただきまーす」

そう言ってゆっくりと近付いてくるひぃくんの顔。

「えっ……」
「響っ!」

焦るお兄ちゃんの声。
ポトリと地面へ落ちる玉子焼き。

ひぃくんは……
私の頬をパクリと食べた。

呆然と固まる私は、ひぃくんを引き剥がしたお兄ちゃんにゴシゴシと頬をこすられる。

お兄ちゃん……。
ひぃくんこんなだよ?
本当にひぃくんでいいの……?
……何で?

そんな事を思いながら、こすられ過ぎてヒリヒリと赤くなった頬をそっと手で抑えたーー。

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