私が消えたい5つ目の理由(1/48)
私は、ただ走った。
目的地もないままに。
まるで、なんの意味もなく生きている私の人生のように。
きっと疲れた時に傍にいて、休憩しようと言ってくれる人がいたなら。
きっとどこまでも…
走ってゆけたのに。
「っ…はぁっ…」
乱れた息は、どこまでも走って行きたいという思いとは裏腹に、私の足を動けなくさせる。
ーーーー見たこともないところへ、ふっと行ってしまいたい。
だけど、私の足で行けるような場所は、何度も見たことのある近所でしかない。
走り疲れ立ち止まった場所は、付き合い始めの時、隆太とよく来た公園だった。
このベンチで座って話したな…
たしか、初キスの場所もこの公園で…
初キスが公園だなんて雰囲気ないね、なんて笑っていたことも思い出した。
ーーー隆太…
みんな学校に行っている時間帯
一人だけの公園で
私は色々なことを思い出していた。
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