拾われた彼

§[家に帰ると](1/9)



帰宅し自分の部屋に入ると知らない男の人がベッドで寝ていました。





「……ん…
あぁ、おかえり」




そう言う優しい声。
大好きな声。






「樹紀……?」






そこには知らない男じゃなくて大好きな樹紀がいました。






「うん。櫻笠樹紀だよ。」


そう言って彼は柔らかく笑いながらベッドから降りた。



見ない内に身長も伸びて…
大人っぽくなって…
でも変わらない笑顔。


そうだ。
この笑顔が好きで好きで…



毎日私は泣いてたんだ。




「樹紀の…樹紀の…」

「…ん?」



次の瞬間、私は叫んだ。



「樹紀の馬鹿ぁぁあああ!!!!!」



樹紀が驚いた顔をする。


「酷いよ菊世…
久しぶりに再開したのに…」



樹紀が拗ねたような顔で言った。

愛しい人に名前を呼ばれ、胸が一杯になりながら私は言った。




「酷いのはどっちよ!!
いきなり冷たい人になったと思えばいきなりどっか行くし!!
どこの馬の骨かと思えばあの清鴎の骨だって言うし!!!」



そう言うと樹紀の長い指が私の頬に触れた。


あ…私、いつの間にか泣いてたんだ…


樹紀は私の涙を拭うと私を抱き寄せた。



「ごめん、菊世…」



私は精一杯強く樹紀に腕を巻き付けた。
もう、離したくない…。


愛しい腕の中で私は泣いた。
みっともないくらいに泣いた。




「菊世、俺の事待ってた?」

「……当たり前…」


「俺の事、信じてた?」


「……当たり前…」


「…嬉しい。せんきゅ」



そう言って樹紀は腕の力を強くした。






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