トラブル/リング
■[中編](1/6)
「コンビ、解消?」
怪訝そうな顔で、ローデの町の受付の男性―マークさんが私に問う。
私は大きく頷いて、
「メリー君とやっていけません。殺されます!!」
そう叫んだ。
何事かと、同じ冒険者の人たちが私たちに視線を向けるけど、私は気にせずマークさんに詰め寄る。
「初めは盗賊退治、次は遺跡調査、その次は川の魔物退治、昨日は竜と戦ったんですよ!?」
私、レベル1です!!
その訴えにマークさんはげっそりとした。
「まあ、メリウスはレベル高いから結構な依頼を受けられるんだけどね。君が、彼とコンビ組んだんだろ?」
「組みましたけど、でも!」
「でもじゃない。そんなにころころコンビを替えていると入らぬ噂を立てられるぞ」
眉間にしわを寄せて呆れたようにつぶやくマークさん。
いらぬ噂って…。
その表情がうんざりとしていた。
そりゃ、変にくってかかったのは私だけど…。
あまり人に邪見にされることに慣れてない、と言うよりも、自分から意見を叫んで言った事なんて冒険者なるって言ってから初めてのことだ。
村に居れば、驚いたり喜んだり、そんな風に声を上げることはあったけど、非難するような事で声をあら上げることはなかった。
ぐんっと肩を掴まれ、
「セシリーリア、あのね。女性が男性パートナーと入れ替わり立ち替わりすると、疑われるのよ?」
ぬっと細く見えるくせに、男性の太さの腕が私の首に絡まる。
「ぐっ」
息がつま、る。
「おいおい、メリウス」
「ちょっと、御仕置き。全く、どうしようかしら、この娘(こ)」
首が、しま…。
くるしっ。
「絞まってるぞ、首」
「絞めてるのよ」
さらりと、言わないでよ!!
内心そう叫んでいると、メリー君が首を解放したかと思うと私を横抱きにして、
「ちょっと上の部屋借りるわよ」
そう言って、ギルドの仮眠室へと運ぶ。
私はげほげほと席をしながら、階段を上るメリー君に落とされないようにしがみつく。
だって、平気で階段の上から落としそうだもの、彼。
そんな不安をよそに、メリー君は仮眠室のベットの上に私を落とした。
「ったっ!」
結局、落とされて――って、
「め、メリー君?」
その彼の表情が今まで見たことない顔つきで…。
そう、まるで――男――。
「さて、ねえ。男とコンビになるってこと、意味教えてあげましょうか?」
「え?」
え?え?何?
戸惑う私に、メリー君はふぅと息をつき、声を出す。
「セックス」
「え?」
「セックスって言ってるでしょ?」
「はぁ?」
間の抜けた声を上げてしまった。
セックス?
セックスって、セックス?セックスて、性交?性交って、エッチ?
え?
は?
「は?」
さらに間の抜けた声を上げる。
「あのね、誰しも冒険者が良い人なわけじゃないわ。たまたまペアの娘(こ)を食べちゃったりするわけ。同意なしで、無理やり、痛めつけて」
「………」
話し方は軽い、けど、内容は――痛い。
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