[ひかりときおく:ユリ](1/25)
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初めて”彼女”を認識したとき。
なんかウソっぽい子だなって思ったんだ。
「あ、ヒカリさまじゃん」
「うっそ、どこどこ?」
「やっぱすっげー美人。顔見れるなんてラッキー」
1年の2学期だったか、教科の担当教諭が休みで自習で。
2階の教室からグラウンドを見て、男子が騒いでいた。
当時の私は、彼女をちゃんと見たことがなくて。
でも、すでにウワサだけはかなりのものだった。
やたら美人で、期末試験では1位を取って、品行方正。
それだけでも・・・ってのに、どうやら運動神経も悪くないらしく、体育の授業をのぞいている男子がわあわあと歓声を上げている。
っていうか、「ヒカリさま」って・・・。
そんなふうに周りが呼び出した頃で。
さすがにその呼び方はないでしょ・・・って思っていたんだけど。
初めて間近で見たときには、そう呼びたくなるのもわかるって思っちゃったんだ。
1年のときは図書委員をしていて。
当番で、放課後に本の貸し出しの受付をしていたときだ。
ウワサのヒカリさまがやってきたのは。
「これ、お願いします」
本が差し出されて、顔を上げるとそこにいたのが彼女だった。