記憶喪失っていうのは、なかなかにやっかいだ。

人っていうのはやっぱり記憶があるからこそ、自分っていうものを自覚できるんだと思う。

記憶がない間、とにかく不安だった。

私の場合はゴールデンウィークを入れて、実質十日だけだったけど。

その間の自分はやっぱり自分じゃないみたいだった。

リュウは「記憶がなくたって変わらない」とか、言っていたけど。

いつもの自分だったら絶対にしないってことも平気でやってたし。

でも、それは悪いことばかりじゃなくて。

普段の自分だったら、したくても絶対無理だったから、本当は良かったのかもしれない。


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