ヒカリとキオク [いとこ](1/8)


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だけど、結局その日はリュウと一緒には帰らなかった。




教室で手を掴まれたまま廊下を歩くと、やっぱりほかの生徒たちの視線が痛くて。

興味を隠さない視線と、ヒカリとリュウの関係を噂していると思われる雰囲気。

さすがに、これは・・・っ。

「リュウっ・・・わかったから、手、放して」

リュウは歩く速度を少しだけ緩めると、睨むみたいにこっちを見てから手を放す。

少しホッとして、そのままリュウと一緒に昇降口に向かう。


まだ視線を感じるけど、それは遠巻きに見られているというレベルで、さっきまでのぶしつけな視線と違って、本気でホッとした。


「・・・さっきは悪かった」

靴を履き替えていると、リュウが突然口を開く。

「え?」

「ちょっと、・・・八つ当たりだった」

「八つ当たりって・・・」

何に?

そんな疑問が伝わったのか、リュウはごまかすみたいに頭をかいて。

「とにかく、気にしなくていいから」

言って、さっさと昇降口を出て行く。

慌てて追いかけると、すぐにリュウが立ち止まった。


「どうしたの?」

声をかけるけど、リュウの視線は校門のほうを見たまま。


「アイツ・・・」

呟く声で、誰かいるのかと視線を向けると。

少し人だかりが出来ていた。

門の外に誰かがいて、それをみんなが遠巻きにしている様子。



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