源氏物語
[花散里](12/13)





良清はしばらく、くらくらとしていたが、すぐにはっとして俺を睨み付けた。



「大体なんで俺がこんな目に遭わなきゃなんないわけ?」


「どの口が言うてんねん」


ほんま、よう言うわ。


「だって、元はと言えば孝道が悪いだろうが」


「はあ?」


俺は耳に手を当て聞こえませーんというジェスチャーをしてみせる。


ん…?


いや、待てよ。


記憶をプレイバックしてみれば…


『ていうか、俺のことはいいから惟光なんとかしないと』


とかなんとか孝道が言うてへんかったやろか。


「なっぬぁにをいっいいいいきなりっ!」


明らかに焦っている様子の孝道。


…なるほどね。


俺は良清の肩にぽん、と手を置いた。


「良清はん」


「なんだよ」


「確かに俺が間違っとった。あんさんはなーんも悪くない。悪いのは孝道ただ一人や」


「ようやく分かってくれたか!」


「うんうん。せやからな、今までのことは全部水に流して仲良うやってこうや。一からやり直ししたいねん」


「惟光…!」


良清はうるうると目に涙を浮かべると、がしっと俺の手を握る。





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