源氏物語
[夕顔](29/29)





「なんだあお前ら」


良清がにやりと笑う。


あー面倒なことになりそうやなあ…


「何なに、お二人さんそういう関係?」


孝道も含み笑いをする。


「そっそんなわけないでしょ!」


顔を赤くしながら否定する右近。


だけどまったく否定しとるようには見えへんぞ。


「なんのこっちゃ」


とりあえずここは分からないフリをする俺。


すると良清と孝道はむふふと笑った。


「いいよいいよ。お二人さんお似合いだもん」


「羨ましいねえ〜」


お前らが言うなばかたれ。


「…なあなあ」


俺は二人をちょいちょい、と手招きする。


すると二人は「何なに?」と近付いてきた。


「もっと近くに」


俺がまた手招きすると、二人は俺の目線と同じくらいまでしゃがみこんだ。


俺をからかうとどないなことになるか、思い知るがいい。


…俺はがっ、と二人の後頭部を掴むと、思いっきり二つの頭をぶつけ合わせた。


ごちっ


なかなかいい音を立てて二つの頭は見事にごっつんこ。


「いっでえーっ!!」


「………!!」


良清は叫び、孝道は声も出せずに身悶えしている。


「うわあー…」


右近は自分がやられたかのように顔を歪めた。


「さーてと、俺は仕事があるんやった」


そうわざとらしく俺は言うとすたすたと廊下を歩き出した。


「待てやおいっ!」やら「ゴルァ惟光覚えとけ!」やら何か後方から声が聞こえてきたけど。


俺は振り返らずにさっさと歩いたのであった。





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