源氏物語
[夕顔](1/29)





──空蝉はんのことがあってしばらく経った夏のある日。


俺のお袋が病気にかかったということで、お見舞いに行くことになった。


「…まあまあよう来て下さいました」


久し振りに実家に帰って見たお袋は、思ったより元気そうだった。


…若君を見たお袋の目がとろん、としているのは気のせいやろか。


「病気だと聞いたけど大丈夫なのかい」


若君も若君で心配そうにそんなことを言う。


「ええ、大したことではありませんの」


「本当かい?ならいいんだけど……あなたには長生きをして私のことをいつまでも見守っていてもらわなければ」


そこには俺の兄弟たちもいて、これを聞いた人はそれぞれ涙ぐんでいた。


……お見舞いから帰る途中。


「…おい、惟光」


「何でしょう」


「隣の邸にはどんな女が住んどるんや」


「はあ?」


「いや、さっきな、ちらっと見えたんやけど、どうも女がおるみたいやねん」


わくわくしている若君。


こんな時の若君はなんだか少年のようである。





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