源氏物語
[空蝉](2/8)
「そうなんだよ。だけどもいろいろあって二人は引き裂かれてしまったんだ。だからお姉さんはあんなむさ苦しいおじさんと結婚する羽目になったんだよ」
伊予の介をそないな風に…
どんな創作ストーリーやねん。
「お姉さま可哀想…」
小君はそう言って涙ぐんだ。
阿呆、可哀想なんはお前じゃい。
「ね、分かったら今度はちゃんとお返事をもらってきておくれ」
「はい、分かりました」
ぺこりと頭を下げると、小君はどこかへ走って行ってしまった。
「……あないな嘘ついてどないするおつもりですか」
俺がそう聞くと、若君は不敵な笑みを浮かべた。
「ああでもせんといつまでーも俺と空蝉の間に挟まれていたいけな思いをせなあかんやろ。せやからこっち側に引っ張っとかな」
ふふんと笑う若君。
さいですか。
頑張ってください。
……その数日後。
若君は何やら口実を作ってまたもや紀伊の守の邸に行くことにしたのだった。
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