源氏物語
[帚木](13/13)





…しばらくして、空蝉はんの弟、小君が邸にやってきた。


と、思いきや、若君はさっそく


「君のお姉さんにこの文を届けてくれ」


なんてことを小君に頼んでいる。


小君は小君で素直に「はい」と返事をして邸から出ていってしまった。


なんちゅう純真無垢な子なんやろ。


思わず涙が出てくるわ。


「いやあええ子やなあ」


にこにこと上機嫌な若君。


「なんやとって食べてまいたいわ」


なぬっ!?


俺は驚愕した。


あんな小さな子をとって食べてまいたいやと!?


ほんま何考えてんねん。


女だけやたらん言うて、十二の男の子も襲おう言うてんのかいな……


もう若君にはついてけへんわ。


思考回路が一般人と違うんやもん。


小君はん……


お体に気いつけや……


俺は足取りも軽く邸から出ていこうとしている小君の姿を見送りながら、そんなことを思ったのであった。





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